私たちの行動について

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【行動趣旨文】

朝鮮が日本の植民地支配から「解放」されてから70年もの歳月が経ちました。

この間、植民地支配下で様々な被害を受けた朝鮮の人々の多くがこの世を去り、ご存命の方たちもかなりの高齢にさしかかっています。

1990年代に入り、植民地支配下の被害について訴えようとかれ・かのじょらの多くが立ち上がりました。訴訟ではそのほとんどが全面勝訴にはならず、被害者たちの尊厳回復には至りませんでした。しかし中には甘言、騙しや誘拐などによる連行、劣悪な条件下での労働や性暴力、また未払い賃金の事実認定がなされたものもありました。それらの事実認定の根拠として被害当事者の証言が挙げられたのです。

しかし昨今、日本軍「慰安婦」や強制連行など無かった、といった歴史歪曲の言説や動きが、戦後70年の中で最も顕著に現れています。現在状況が深刻なのは、一部の歴史修正主義者によるものではなく、一般的な市民たちもこの流れに合流しているという点にあります。被害当事者の証言には何の根拠もないとし、かれ・かのじょたちの尊厳回復はおろか、尊厳を踏みにじってさえいます。

私たち在日朝鮮人大学生も、ほとんどが証言を直接聞いたことがない世代でしたが、この間多くの被害当事者たちの声を聞く取り組みを行ってきました。証言を聞くと、私たちはそれに嘘偽りがないことを確信しました。他者の痛みに対する想像力の欠如、これが、「歴史歪曲」という表現レベルに留まらない「歴史の逆行」の流れを強力に進めています。

また「歴史の逆行」の矛先は、被害当事者だけにとどまらず、在日朝鮮人に対する差別、敵視にまで及んでいます。昨今、朝鮮高校に対する「高校無償化制度」除外をはじめとした民族教育に対する差別やヘイトスピーチ等が問題になっていますが、このような差別、弾圧は、かつての植民地支配を正当化し、在日朝鮮人の歴史性を無化しようとする日本社会の動きに根本的な要因があると考えます。

これからの日本と朝鮮半島について考えるとき、もう過去のことは忘れ、明るい未来を作っていけばいいのではないか、「未来志向」でいこうといったことがよく言われます。しかし私たちは、被害当事者、そして日本と朝鮮半島の未来のためにも、この「歴史の逆行」を決して看過することはできません。過去の歴史を直視し、日朝間に横たわる様々な問題と真摯に向き合い、その克服に向けて努力してこそ、豊かな未来を構築できると確信します。

「歴史の逆行」の流れの中で、なかったことにされようとしている被害者の証言に今こそ耳を傾け、彼らの経験を記憶し、尊厳回復のための地道な道を歩んでいかなければなりません。植民地主義の継続という日本と朝鮮半島の近現代史100年に、もう決着を着けなければならない時が来たのではないでしょうか。

私たちは本行動を契機に、日本の歴史歪曲に反対する世論を喚起し、継続的に、植民地支配の真実を究明する運動を行っていきたいと考えます。

図2         imagesMWCI55HI